賃料推移のお話し KINOWA編
先日久しぶりに「週刊全国賃貸住宅新聞」から依頼を頂き、
2006年に竣工した、築15年の賃貸物件KINOWAのその後を取材していただくことに。
常々、賃貸物件は10年目からが勝負!と考えていたので、
これを機会に今まで手掛けた賃貸物件の空室率や賃料の下落率をリサーチすることにしました。
早速、管理会社である東急ライフィアさんに依頼して賃料推移のみならず入居者アンケートまでまとめていただきました。
KINOWAは東急田園都市線江田駅から徒歩2分、木造2階建19世帯のテラスハウスです。
各戸面積は61m2から103m2まで、1LDKから3LDKまでのバリエーションがあります。
ほぼ全ての住戸のダイニングキッチンが、セキュリティ完備の入居者専用庭園(コモンガーデン)に面しており、
安心して子育てができる環境を作っています。
そして、この庭を通じて入居者同士がコミニュケーションできることが設計意図としてありました。
また、庭に面してLDKから続く広めのテラスがあり、アウトドアリビングとして使ってもらうことも想定しています。
新築時の家賃は、付近相場より1割ほど高く設定したのですが、3ヶ月で満室となりました。
築16年目になった今も賃料下落率は5%弱しか下がっておらず、
結果的に現時点でも相場より1割以上高めで安定しています。
入居年数は平均で4年ですが、なかには10年以上住んでいただいている方も。
転勤シーズンに空きが出ても一ヶ月経たずに埋まるのでほぼ満室状態が15年続いています。
築12年で大規模修繕を実施しており、外壁の塗装などは行ったのですが、
無垢のフローリングは何も手をつけずに済みました。
あと10年は問題なく使えそうです。
以前も当ブログで書きましたが、
無垢のフローリングはイニシャルコストはかかりますが、
ランニングコストは圧倒的に安価。
建築は長い目で素材を選びたいものです。
入居者アンケートでは、
■内見時、室内(特にリビング)が非常に明るいとの声が多い。
■コモンガーデンについて、安全に子供を遊ばせられるので魅力に感じる奥様が多い。
■入居後、子供を通じて入居者同士で仲良くなるケースが多く、
それがタウンセキュ リティに繋がっている。
と、設計の狙いどうりに楽しんでいただけているようで嬉しい限りです。
また、入居の決め手として
■唯一無二のデザイン性が最大の魅力。
■注文住宅に近い個性があり、建物にコダワリを感じる。
■天井が高く、高窓や壁面いっぱいの窓等、光を採り入れる工夫が随所になされている。
など、嬉しい言葉が並んでいます。
この仕事をやってきて良かったなぁと思う瞬間です。
ここ数年、ハウスメーカーも商品力を上げてきていて、ライバルになることも増えました。
しかし、我々建築家が提案できることはまだまだあるはず。
実際のところ、ガレージハウス賃貸もアウトドアリビングも15年以上前から提案しているわけですからね。
これからも新しい賃貸を創造すべく精進していきたいと思います。
| 固定リンク
コメント